本格的に穀物菜食の勉強を始めたら、そのメニューや料理の仕方の数々に精進料理の影響を大きく見ました。古来から伝わる伝統食として改めて見直してみると不思議ではないのですが、マクロビオティックを知ることによって本格的に料理に向き合うようになった私には種明かしをされた気分になった本でした。
関東の精進料理なので関西とはまたちがった味で、宗哲和尚さんは素材の持ち味を最大限に引き出すために砂糖は使用していません(デザートには主にフルーツ、その味付けや風味付けにはちみつや黒砂糖が使われています)。調味料で多用されているのは醤油、酒、みりん、塩、酢、それからごまです。
マクロビアンがこの本の料理を日常的に楽しむにはみりんを外したり、すし飯はマクロ仕様にしたりとあれこれ工夫が必要になりますが、それでも利用価値は高くなると思われます。精進料理なので、言うまでもなく動物性は一切使われていません。乾物の使い方なども非常に参考になります。普通食のお客様があるときにはこのまま作ってお出ししたら粋なお料理で喜ばれるかと思います。
宗哲和尚さんのお料理本は他にもいろいろ出ていますが、「魂の食:ソウル・フード」という料理本と、この本のレシピはかなりかぶっています。前著をお持ちの方はこの点を考慮のうえ、購入されることをお勧めいたします。巻末に精進料理についての著者による簡単な解説つきです(調理の五法や五色盛り、五味についてや、精進料理の成り立ちや特色について仏教の教えなどを用いて敷衍されているところも面白かったです)。